脂肪組織から分泌されているレプチンというホルモンによって、食欲が強力に抑えられるというのなら、これを増やす方法があれば、やせられるのになあ、と思われた方もあるでしょう。
実は、既に1999年10月にHeymsfield らによって、正常者と単純性肥満者に対するレプチンの初めての臨床試験が行われているのです。
正常者54人、肥満者73人に対し、24週間、連日レプチンの注射薬の皮下注射を行い、体重の変化を調べています。
その結果、極めて高用量のレプチンを投与したグループでは、減量効果が得られたのですが、通常の用量のレプチンを投与したグループでは、残念ながら、減量効果は得られなかったのです。
その理由は、肥満者の場合、正常者に比べて、レプチンは、血液から脳の方へ移行しにくいからなのです。
レプチンを皮下注射すると、徐々に血液中に入っていきますが、レプチンが効果を発揮するためには、脳の中に入ってかなければなりません。
脳の中に入ることで初めて、体をやせる方向に導くいろいろな作用が発揮されるわけです。
ところが、肥満者の場合、血液中のレプチンの濃度が高くても、脳の方に入っていきにくいため、その効果が発揮されにくいのです。
このことは、血液中のレプチン値と脳脊髄液中のレプチン値とを比較した研究の結果から、明らかとなっています。
つまり、肥満者というのは、「脂肪がたっぷりついてますよ〜」ということを知らせるシグナルが、体から出ているにもかかわらず、その情報が、脳の方に伝えられていない状態と考えられます。
ですから、この情報伝達の異常が改善されれば、辛いダイエットや運動などせずとも、体のコントロールタワーである脳が、脂肪が増えすぎれば、きちんとこれを減らす方向に、体を導いてくれるわけで、なんの苦労もいらないはずななのです。
でも、残念ながら、まだ、これを改善する方法は、見つけられていません。
この情報伝達の異常を改善する方法が見つかれば、肥満に苦しむ人は、なくなるかもしれません。
きっと、ダイエットの革命が起こるでしょう。
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